Fuck The Rest,I'm The Best

uizcatchthebeat2008-01-13

ひさしぶり、クソムシども。
ウンコ野郎が帰ってきたよ。




新年とか別にめでたかねえ、
ってスタンスは
毎年変わんねし
世話もしてなきゃ
されてもないし
よろしくしないし
されないし。
あけオメコとよろ、とか
言ってる女子が気付いてないのにかこつけて、
聞こえないふりしては
何度も言わせるエロジジイな自分が大好きです。
てな調子で
たぶん外伝史上最長くらいな更新空きを無視して
しれーっと始めても良いのですけれども。


元々、12月に考えてたのは
2007年のHip Hop/R&B/Reggaeの年間ベスト
(それは近々うp)
を練るために
そっちの音楽について書くのをちょっと休もうと。
その間、開いちゃうのも
なんだから
こんところ激しく進んでる
俺が10代、20代の頃に聞いてた旧譜群の再発について
触れてみるのもいいんぢゃないか、と。
んで、ICEの紙ジャケ再発についても書くつもりでいた、と。


それが前回の記事にあるような事態になり。
なんとか俺なりにICEの魅力を伝える術は無いものか、と考えてた。
それがどうにもこうにも上手くいかない。
思いを文章にしようとしても全くまとまらないし
キーボードを打つ手も進まない。
少し経ってから
ようやく書き進むようにはなるものの
どうも文章を介在させると
腹の底が伝わらない感じが残るばかり。
今回ほど己の文才の無さを呪ったことは無かったわ。
マジでちょっとblogとかもういいわあ、と思ったりも。


まあ千万言を尽くそうが
俺の糞文章なんかどうでも良くて
要は「聞け!」でしかないんだ。


年末、
たまたまドリカムのNHKでやってたドキュメントを再放送で見た。
音楽性はキライぢゃないし
ライブも行ったことあるしだが
恋愛至上主義な世界観や
性善説に立ってそうな支持者の皆様とは
到底馴染めない感じがあって
積極的にファンぢゃないんだけど。
それでも。
二人の音楽に対するあまりにも真摯な姿勢に
心底感動した。


残念ながら
大事な人が失われる、という意味では通底してても
表メディアで取り上げられる量は圧倒的に少なかったICE、
あれだけ嘘が無く
良質なものだけを頑固に届け続けようとした宮内氏のことを
ファンが伝えずしてどうする、
素晴らしい曲群や至高のライブ体験を与えてくれた恩に報いるには
糞文章であっても
音楽に触れるほんの少しのきっかけを刻んでおくために
残しておくのがいいんぢゃなかろか。
で、更新した。
相変わらず能書きうざいか。
承知。


今回再発されたのは1stから7th(1993年〜1999年)まで。
各時期のシングルオンリー楽曲がボートラとして収録されてるが
漏れたものも数曲あり、
EMI時代をコンプリートするには至ってないけれど
リマスターによって素人耳にも明らかに違いの分かる音質の向上、
買って損は無い。
各盤に新たなライナーノーツが付加、
これが全てICEと直接の関わりのあるライターやラジオディレクターといった
近しいスタッフたちで、
評論というよりは
各々の語る「ICEと私」とでも言うべき証言。
闘病とか余命宣告とかが
スタッフ間でどのくらい共有されてたのか
本人にはどういった思いがあったのか
今となっては知る由も無いけれど。
旧譜を現在の技術で最も良い状態で残し
キャリアを総括するベスト盤を出し
さらに最後の新作を発表し。
兄貴は
まだまだやり続ける気だったのかな
それとも
何もかもわかってたのかな。


氏の早逝がこれだけ惜しまれるのは
何よりもまず素晴らしい音楽を届けてくれてたからに他ならないけども
改めて過去のインタビューを読み返したり
ネットに上がった追悼のことばの数々を読むにつけ
宮内和之という人物自体の魅力の大きさを痛感した。


DUB MASTER X


鈴木桃子


SAKURA


ふかわりょう a.k.a.ROCKETMAN


生前はちぃとも気にして無いくせに
「死んだらいい人」扱いする、
「追悼してる、俺って私っていい人!」的ナルシズムに満ちた、
反吐の出る心無い言説をこれまでたくさん見てきたが
それらとは全くモノが違う。
是非リンク先でご確認を。
特にふかわ氏の文章には胸に迫るものが。


江戸っ子気風、
やんちゃな学生時代、
洋楽やギターへの少年丸出しな愛情
(Charへの弟子入り話!)、
納得いかないものへの反骨心。
同業者からは親しみと尊敬を一心に集めた
「ザ・ミュージシャンズ・ミュージシャン」であり
ファンからは「兄貴」と呼ばれた男。
こんな人そうそういるもんぢゃねえやなあ。


ICE、結成は1990年、CDデビューは1992年。
渋谷系とカテゴライズされることもあったが
他のアーティスト同様
自身はそれを忌避してたところがある。
US R&BでいえばNew Jack SwingからHip Hop Soul誕生の時期。
一緒には語れない面もあるが
80年代までの音楽カタログを
同列的に自由に調理する感性が登場した時代。
宮内氏の豊穣な音楽的背景が様々な名曲に止揚されていく様子は
本格的な歌モノへのサンプリング手法導入の傾向と重なって見える。
70年代のソウルやファンクに見られるギターカッティングを
ファンクバンドを標榜した「専門家」とは異なる形で
現代的に再構築して聞かせたセンスは
唯一無比だったんぢゃないかと思う。


ヴォーカルの国岡嬢はSADEのファンで
デビュー前は六本木のホット・コロッケ
(覚えてる?)で
ジャマイカンとのレゲエバンドに在籍。
ウィスパー気味な声質、
歌い口にはジャズやボッサからの影響も垣間見られる。
Aaliyahが登場するのは翌年。
DoubleもBonnie Pinkも登場する前、
日本で最もUrban&Cool&Beauty&Sexyだったのは彼女でしょう。


オシャレなビジュアルから
軽薄な印象を抱かれたりしたならそれは正反対で
音はもちろん歌詞世界も寧ろ骨太で諧謔心や反骨心、
バブル崩壊後の空虚感、
その中で都市生活者が生き抜く強さに満ちたもの。
歌詞の殆どを宮内氏がてがけてるが故、
国岡嬢が「僕」や「キミ」を多様する絶妙な距離感については
以前も賞賛しましたが
そのとき書いたように
2000年以降の諸作でより歌詞が哲学的になったとき
それが俺には理解しにくかった。
今回、改めて聞く中で自分なりに理解したものもあったし
未だ読みきれないものもある。
つまり、氏は宿題を残してくれた。
最後まで凡庸な弟の一歩先を示す兄貴であったのです。




外伝的Top10とか上げようかとも思ったが
今後も聞き続けていく中で
きっと人生の各時期において
感じ方が変わってくる期待もあって
敢えて限定しないでおこうかと。
一曲だけは難しいけど
今の時点で個人的な思い出と分かちがたく在る、
この名曲を。
モータウンなリズム、Jumpin' Jackなギター、ときめく歌詞、
全てが最高です。
国岡嬢のCool&Cuteぶりも反則すぎる。

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