58年5月、別荘にて

uizcatchthebeat2007-12-14

2007ってのは
CISCO閉店に象徴される
Vinyl文化の黄昏つー
無視しようの無い現実と
Hip Hop愛好者が
向き合った年として
記憶されるのかも
しれないな。


上記リンクでも
多く語られてるところですので
蛇足になろうかもだが
レコ屋が消えゆくことへの不安は
単にVinylへのフェティッシュな思い入れや
自身の青春への郷愁を超えたところで
文化の醸成に不可欠な「場」が
失われることへの危惧につながってる。
クラブはどうしても宵っ張りを厭わない生活が
恒常的に可能な人種に限られがちだし
SNSが信頼に足る人間関係を生むかどうかは
未知数だしな。
まあ世の音楽への熱情は失われないし
形を変えて続いていくとは思うけどさ。


ともかく。
レコ屋にとどまらず
ネットでポチったほうが楽、
着うたや配信で欲しいのだけDLすればOK、
なヒトが増え続ければ
CDショップも縮小の方向だろし
この日のコメントでも書いたけど
パッケージビジネスとしての音楽産業は
ホントに曲がり角なんだろな、と。


こんなせまーいコマの回し合いの中、
制作費の回収とか宣伝費とかを気にせず
オサーンのボーナスの懐を狙い打つ
限定再発モノが乱発されるのも
まあ当然なのかな、と。
乗っかるこっちも
せめて質の良い再発を願いたいところ。


徳間もバーボンを再発
サウスも名盤だが
今回は当方10代からの憧れ
萩原健一氏の再発の件を。
優作については
アイコンとして繰り返し語られるが故
今の若い世代も格好良さを理解されてるかもだが
ショーケンは近年の寂しい状況もあって
最も輝いていた時代の諸作ですら省みられることが少ない気が。
(「祭ばやしが聞こえる」のDVD化は無理なのでスカ。
地上波だめならせめてCSとかで再放送してくんないか)



今回の再発はデジタル・リマスタリングはもちろん、
紙ジャケで帯や歌詞カードを
オリジナルLPどおりに復刻してる丁寧な仕事。
(その分クレジットが小さくなりすぎで判読難だったりもあるが)
LPも以前のCD化でも持ってる身としては
スルーしても良かったんだが
スタジオ盤のみadditional trackがあるってことで
無視できなくなった。


結論から先に言うと
「付けたのは有難いが文脈無視が甚だしい」てところか。
なんとか購入意欲を喚起しようと
なりふり構わん感満載。
今回全くの未発表はこれ

Nadja-愛の世界+1(紙ジャケット仕様)

Nadja-愛の世界+1(紙ジャケット仕様)

に収められた
"どうしようもないよ(SHANTI SHANTI LIVEより)"のみ。
オリジナルが収録されるのは2枚あとだし
後述するように
83年のライブ時は歌唱も音楽性も大きく変わってる。
まあ全然予備知識の無いヒトが
このアルバムを手にする可能性はゼロに近いだろが
違うアーティスト混ざってるよ!っつーくらいな。
今回の中でも最も元アルバムの世界観ぶち壊しな仕打ち。
LIVE自体はおそらくインド、カルカッタでのもので貴重、
このライブ盤
SHANTI SHANTI LIVE(紙ジャケット仕様)

SHANTI SHANTI LIVE(紙ジャケット仕様)

のouttakeとなるわけで
こっちに入れろよな、と。


あとは全てシングルリリースだったものを
時期無関係に振り分けたのみ。
80年のシングル"ラストダンスは私に"は、
このライブ
DONJUAN LIVE(紙ジャケット仕様)

DONJUAN LIVE(紙ジャケット仕様)

と同テイクをeditしたもので
今回これ
DONJUAN+1(紙ジャケット仕様)

DONJUAN+1(紙ジャケット仕様)

に収められたが
同時期、同メムバーの演奏だけに違和感は薄め。


81年のシングル"ホワイト&ブルー"は
79-80年にかけて音楽面で飛躍的に評価が高まった時期、
急造ベスト盤のタイトル曲にもなった。
CMにも使われてたっけ。
今回これ
DERLANGER+1(紙ジャケット仕様)

DERLANGER+1(紙ジャケット仕様)

に収録。
(SINGLE ver.)となってるが
アルバムとはmixが多少違うかな、くらいで殆ど同じ。


カップリングの"フラフラ"が
こちら
NadjaIII-Angel Gate+1(紙ジャケット仕様)

NadjaIII-Angel Gate+1(紙ジャケット仕様)

に収録。
自分のパーマネントバンドたる
DONJUNAN R&R BANDを組んだ80年を境にして
歌唱スタイルや音楽性を変化させ
「俳優の余技」から
完全に独立した音楽的個性を獲得したので
やはり79年アルバムに収められると違和感がある。


83年のシングルオンリー曲
"SEXY LONELY NIGHT"は
これに。
NadjaII-男と女+1(紙ジャケット仕様)

NadjaII-男と女+1(紙ジャケット仕様)

カップリングの
"もう一度抱いて"は
これに。後者も(SINGLE ver.)の表記あるが
元々シングルしか存在しないわけで
誤解を招く書き方スンナ、と。
このシングル盤はいわくつきで
曲自体はのちに乱発されたベストCDには収められたものの
オリジナルリリースが
大麻不法所持でパクられた時期と重なったもんだから
出荷量が少なめで
俺もしばらくコレクションのWANT LISTの上位だった。
2曲とも「藤真理子作詞、もんたよしのり作曲」の異色作。
パクられなければ
こういう方向性でのリラックスしたアルバムを
作る予定だったのかもしんない。


初期の大野克夫、井上尭之、柳ジョージらの手がけた楽曲も捨てがたいが
俺はやっぱり速水清司×萩原のマジックは格別だった、と思う。
口の悪いヒトはショーケンのこの時期のDiscographyを
だんだんドラッグ渦が深化していく順だ、
などと言ったりもしてるが
真偽のほどはともかく
"DONJUAN"や"D'ERLANGER"に収められてる曲群は
力強くも不穏であり、
どこか哀しくも美しいものばかり。
かつてもこれからもこの空気は作ろうと思って
作れるものではないでしょうなあ。