ダーリンすべてを忘れようじゃないか

uizcatchthebeat2006-11-06

17年が過ぎて。
松田優作の、
今に至るまで最も愛されてる作品であろー
探偵物語』のTVシリーズ
最初にオンエアされたのは
1979年から80年にかけてですから、
そのときにリアルタイムで夢中になった年代、
(今の30代半ばから40代半ば)
は「食らっちゃってる」わけで、
俺含むそうした同輩諸氏にとっては
リリーさんが言うように
「好きにならない理由がわからない」し、
「心に棲みついていつも叱咤されてる気がする」です。
もちろん、
もっと若い世代の方でも同じ病気wの同士がいらさることでしょう。


一方で、
今見ても古臭くてそこまで執心する意味がわからんとか、
当時から松田ファンのそーゆー偏屈なとこがキモイとゆー意見が
あることも知っとります。
爆笑太田やくりぃむ上田が推すたびに
嫌気がさすヒトもいるんだろなあとかw
男が男の俳優の演じるキャラに熱狂するとか
立ち振る舞いを真似るとか
今はさらに考えにくいもんな。
今だって例えばオダギリジョーに心酔する男子、
とかはいるのカモだが
そりゃきっとウホッなほうなんだろww、とゆー感じになっちゃうのは
時代だからでしょかね。


役者としてもちろん好きだったわけだが、
俺は音楽家としての優作がとても好きだったのナ。
もちろん、
「あの工藤ちゃんがリアルに歌ってる!」とゆーよーな
前提があって好きなことは否めないが。
役者としての方向性を変えると共に
音楽性も変化させるとゆー不可分で
明確な姿勢が特徴。
その中でも
「歌も原田芳雄の真似か」と揶揄された
(俺は原田の歌も好きだが)
ブルースシンガァ然としてた頃より
"Interior"(1982)と"Deja-Vu"(1985)といった、
Exとがっちり組んで作っていた時期の曲群が好み。
Exは今や劇作曲で著名な梅林茂と羽山伸也、後に奈良敏博らを擁したバンド。
1980年にアルバム一枚を残してます
(その後、お蔵になっていた再編2ndと共に2000年にCD化)。
時代はパンクを経てニューウェイブに向かう頃。
曲はシンプルで分かりやすいのだけど
どこか硬質で冷めた質感があって
陽炎座』や『家族ゲーム』でアクションのイメージから離脱し
独自のクールネスとや浮遊感が加味されていった優作と
非常に良いケミストリィが起こったように感じます。
そうそう、Exて12吋を一枚残してるんだけど
この中の"Masked Ball"とゆー曲は
2Versionが収録されてるんだが
盤に溝が2本設定されていて
かけるまでどっちのVERSIONがかかるかわかんないww、
とゆー遊び心が施されていましたよ。
聞きたいほうが聞けずにイライラする、とゆーwww


さて、そんなExとの共演時期のライブ映像を収めたDVDが発売になったわけだが。
解説で美由紀氏も言ってる通り
本来発売を目的にしたものでなく、
記録用にスタッフが撮ったものを基にしてるもので、
けして褒められたクォリティやアングル、音質ぢゃあない。
だからこその『公式海賊盤』であり
アンビバレンスなるタイトルもそうした後ろ暗さがあるのかな、とか。
それはともかく、
「シンガァとしての優作」が劇中以外で映像化されるのは
単純に嬉しいし、
前期のようなExとの音楽を熟成させていった、
82年から84年の映像を中心にしてるのも個人的にはありがたい。
Boxは三枚組みで年代順にみると、
最も古いのが
お馴染みユーヤさんの"New Year Rock Fes"のテレビ放映分から、
80/12/31の浅草国際劇場
『ヨコハマBJブルース』の雛型のよーな
(70年代から80年代に日本の男優が一時競ってやっていたブルース「的」な
「渋い」歌曲群・・・それはそれでキライぢゃない)
イメージで、「灰色の街」もまだ詞やアレンジが違ってる。
エディ藩や李世福といった横浜の偉大なブルースマンの演奏が聞けるのも
ポイントでしょか。
優作の「ブルース期」のたたづまいはそれだけでかっちょいいのだけど、
パフォーマンスはちょっとどうかなって感じ。
既に"熱狂雷舞"で一般のロック誌からも高い評価を受けてた
ショーケンを意識してたことは間違いなく、
身体の動きにもそんなところがチラホラ。


次が82/12/8の大阪厚生年金でのフルコンサート。
"Interior"発売直後、このアルバムをメインにした構成。
アルバムのお蔵曲と思われる3曲の未発表曲も披露してるが、
これはちょっとシンプルすぎたりポップすぎたりで
入れなくて良かったなwと思わせる。
ここにはショーケンの影とか一切ナシに
もう優作でしか成し得ないステージパフォーマンス。
でもまだ緊張してる感じ。
残念なのは
"Interior"はA/B面別コンセプトで、
B面は大野克夫氏プロデュースなのだけど、
こっちは優作が好みでなかったのか
Exとの音に集中したかったのか
ライブのレパートリーからは以降も殆ど外れたこと。
こっちも好きなんだけどねえ。
ちなみに今日の「ダーリン〜」てタイトルは
俺がトチ狂ったわけではなくw
この大野氏プロデュースの曲タイトルから。
当時のデモを収めた大野版「ダーリン〜」も素晴らしいいいい!)
この月末の渋谷西部劇場でのRock Fesから一曲収められてるが
そっちのほうがリラックスして見えます。
翌年83年末のRock Fesからも
ユーヤさんとの"決めてやる今夜"収録。
これはまぁゲスト程度。


続いて84/9/8渋谷Live Inn。フル収録。
ライブハウスなので派手な動きはなく
"De-Ja Vu"発表前にも関わらず
殆どがそこからとゆー大胆な構成に
客席も戸惑い気味w
アンコールの"YOKOHAMA HONKY TONK BLUES"に
一番客の反応がイイのが判る。
でもExとのコンビネーションはさらに深化していて
優作自身歌手としての自分を
しっかり表現できている自信が伝わってくるです。
同じツアーから同月24日の新宿ツバキハウスからも
ボートラ的に3曲収録。
最後は同年末のRock Fesからまたもユーヤ氏との"赤い風"。
Exとは違うアレンジが聞けます。


この後、
梅林氏と袂を分かち
奈良、羽山とで作り上げたセルフプロデュースの
D.F.NUANCE BANDを展開することになるが
より表現が研ぎ澄まされた内省的な音は
俺的には受け入れにくかったなあ。
但しこのアルバム後87年にツアーしているので、
このライブも見てみたかった。


優作は横浜のシェルガーデンとゆー
今は無きライブハウスに計4回出演しました。
俺もアマチュアバンドでそのステージに立った、
とゆーのが大事な思い出。
ここは隣接したバンドホテルとゆー
老舗ホテルが経営してたが
99年にはホテルも閉鎖、それと共に無くなっておるです。
その跡地、今はドンキになってる(泣)んだが。
遠い昔の、男が男の格好良さに心底憧れた時代のお話でございました。