EIKICHI YAZAWA ROCK'N'ROLL IN TOKYO DOME@東京ドーム

uizcatchthebeat2009-09-19



過去の私的矢沢評はこちら(12)。




昨年はデビュー以来
37年(!)目にして
初めて全くツアーを行わず。
今年はEMIを離れ
自らのレーベルを立ち上げ
久々のオリジナルアルバム発表と
それに伴う積極的なプロモーション、
複数のフェスへの参加、
そして60歳(!!)を祝したこのドーム公演。


ROCK'N'ROLL

ROCK'N'ROLL



2000年代のアルバムの音が
アレンジの妙よりもシンプルさを重視し
それに伴って歌唱もライブ感を増したものになり
その流れで"YOUR SONG"なるセルフリメイクシリーズをリリースするに至って
個人的な興味が減退していったところがある。
シンプルさがチープさに聞こえたり
シンプルであろうとして逆にうっとおしい印象を抱いてしまっていた。
しかし4年ぶりのこのアルバムは
逆説的ながら「シンプルさが洗練」され
これ以外に無い、かくあるべし、という仕上がり。
単純に好きになれた。


なので37年、同じテンションで矢沢命、の人には申し訳ないが
ここへ来て矢沢熱が再燃したのでドームにも行きたくなった。
でも当然チケ完売済、と諦めてたら当日券情報が。
矢沢に限らずドームクラスは当日券て出るんだよね、と思い出し
15時過ぎに駆けつけると難なく(まあ3階の端っこのほうだったが)買えました。


89年のドーム、て行ってるはずだが
あまり明確な記憶は無い・・・
ミック・ジャガーのソロ公演でドームは体験済だったが
まだまだライブ会場てよりは
何か巨大な空間を利用した祭事、て感じだった。
往時に比べれば音とスクリーン映像のズレや演出のタイミングは
遥かにコントロールされ進化していたように思う。


しかしドームに集結した客は
高確率で見事なまでに「矢沢の客」だったw
まあ人のことは言えないのだけど
職種当てクイズしたら土建業か水商売か裏稼業かwwとしか
言われない感じ。
あと、コアなファンがaround50くらいになってきてるからか
みな若い頃の不摂生が祟ってるのか
足を引き摺ったりして
不健康そうなヒトを多く見かけた。
みなさん身体はお大事に・・・いや、ホント。


コンサートタイトルこそ"ROCK'N'ROLL"なれど
来月からはこのアルバムを携えての全国ツアーが控えてることもあって
アルバムのライブ、では無かった。
(そっちも観たい)
そもそも活動歴が40年近く、オリジナルアルバムが30枚以上あるヒトが
その全キャリアの中から2時間20数曲に絞り込んで
曲を披露しようとすることの困難さは
想像を絶する。
オールドファンは古い曲、新規ファンは最新曲、
コアなファンはレア曲、を聞きたいだろうし
定番曲ははずせないし。
とまれ、セトリを追いつつ感想を。


一曲目は
"ワンナイト・ショー"。
主旨に合った、初期の尖った時代を思わせる選曲で興奮。
"Brother!"
2000年代の定番曲。あまり思い入れない。
"SEPTEMBER MOON"
ハードなナムバー2曲のあとにこのミッド。
レアめで佳曲だが早めにトーン落とすんだなあ、とも。
"Take It Time"
と、思ったら80年代半ばの、
打ち込みバリバリな早BPM曲。
"通りすがりの恋"
初期曲。レア。ロッカバラードて矢沢の好側面のひとつだと。
""
んでまた中期の早めの曲。
うーん、緩急がおかしくないか。
"天使たちの場所"
初期の名曲。
ブレイクが多くムードで聞かせるコレを
ドームでやるのは素晴らしい!
"SOMEBODY'S NIGHT"
"MARIA"
この辺は定番で安心して聞いていられる。
個人的には嫌だけどドーム全体のノリを考えれば
こういう有名曲で押し通すやり方もあったかも。
"FLESH AND BLOOD"
大人数のエキストラ軍団がステージを横断する、て演出は
何回か観たが分かっててもワクワクするw
"安物の時計"
ストリングス登場。
脛に傷持つ同士はいつでも泣くw
"YES MY LOVE"
サブステージで披露も
エアモニのトラブルで演奏しなおすハプニング。
ちょっとハラハラ。
"ディスコティック"
初期曲。ちょっと唐突だけど好きだから聞けてOK。
これって、ディスコサウンドぢゃないよな、と今更思うw
"BALL AND CHAIN"
ギターのカッティングが印象的な後乗りの中期曲で
選曲自体は良いけど
音が聞こえにくくてノリにくかったのが残念。
このあたりで中期曲の多さに
紙ジャケ再発と合わせた?との疑問がw
いや、この時期は個人的にドンはまりだから嬉しいんだけど。
"涙が…涙が"
ウェットなこの曲も流れ的には意外な選曲。
ホントにあんまり全体の流れとか考えてない
(考えてるのかもだが客とすると分断感ある)のかも、とか思う。
"コバルトの空"
"Sweet Rock'n'Roll"
"Loser"
新譜から3発。
もっと聞きたかったがそれはツアーか。
"Medley:ラストシーン〜チャイナタウン
〜キャロル〜ウィスキーコーク〜雨のハイウェイ"
中期ヒットと初期の人気曲を短めに。
まあサービスタイムか。
"逃亡者"
冒頭のバイクのフィルムから
この80年代の代表曲。
コレはカコイイ。
この前までに挿入されたアニメキャラで
歴史を振り返る映像がスベり気味だったのでw余計に。
歴史が偉大であることはもう周知なので
敢えてギャグを入れつつ軽やかにやろう、という主旨自体は
評価したいんだけど・・・もう少しセンス良く出来たはず。
"PURE GOLD"
歌詞が矢沢史を彷彿とさせるために
リンクすると強い感動を呼ぶ一曲、なんだが
近年多用されすぎた感はあり。
"黒く塗りつぶせ"
ラス曲がコレ、てのは凄く珍しい・・・と思ってたら!
まさかの驚愕ゲストに氷室京介ヒロトマーシー
単に友人とか大物を呼んでみました、てゆーこととは違う。
そもそもこういうことは一切せずに来たヒトが、という驚き。
MCでこれが
「キャロル→BOOWY→ブルハ」という
日本のロック史を意識した
矢沢の発案であることが述べられた。
日本のロック
(その定義は難しいものがあるが)
の先駆者でありながら
同業者とのリンクを避け続け(もしくは必要とせず)
独立独歩で来たヒトが
こういう振る舞いをここで行ったことには
なかなかに感慨深いものがあった。
まあ、理屈はともかく歴史が動きそして刻まれた瞬間を
目の当たりにして
リアルに腰抜ける&しょんべんちびりそうwでしたよ。
ENCORE:
"ルイジアンナ"
歴史を作ったヒトが
時を越えてデビュー曲を歌う・・・美しい。
"Sugar Daddy"
興奮の坩堝の中、
米国発売盤からのレアなミッド曲・・・
妙な選曲だなあと思ってると・・・娘yoko登場
賛否もあるとは思うが俺はニコニコ見てしまった。
デュエットだけして互いにMC一言も無かったのが良かった。
あそこで「娘をヨロシク」とか言われたら冷めたかもしんないw
娘さんには焦らず良曲を紡ぐようなキャリアを積んで欲しい。
"止まらないHa〜Ha"
やらないわけにはいかない。
一時は「自ら演じるパロディ」みたいに見えたものだけど
コレを60歳が歌いきるんだよなあ、と思うと
今回はなんか勇気出たwいや、皮肉でもなんでもなく。
"長い旅"
30年前、この場所が「後楽園スタジアム」だった時のラス曲。
さすがにその場にはいなかったわけだが
同規模のライブを現役で成功させてるという事実に
深い感動を覚えた。




以上、
曲の流れや演出とかに文句が無いわけぢゃないが
それは40年の歴史の流れの上の
もの凄く高いレベルでの個人的な望みや好みであって
全体としては体験の満足度のほうが圧倒的に上回ってるのだけど。
このヒトの偉大さはまだまだきちんと語られていないし
伝わっていないと思う。
今秋の映画がまたひとつきっかけになればいいなあ。